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2007年01月27日

今月ちょいといい話「賞味期限」

 私はどうも「限定」というものに弱いらしい。「この商品、限定百個」なんていうと、買わなくちやと心が焦るし、「三日間限りのバーゲンセール」とあれば、別に欲しくなくても行かなきや損という気がしてくる。そういう性格なので、賞味期限という言葉にも弱い。おなかいっぱいでも今日限りの賞味期限のものを見つけると、ついおなかの中に放り込んでしまう。捨てられない性質なのである。二十年前、夫は、こんな私の性格を見抜いていたんだと思う。夫とは、いわゆる「合コン」で知り合った。「合コン」といっても、お互いの友人四〜五人ずつが会ってコンパをやるというノリであった。クリスマスの前日ということもあって、皆で盛りあがったが特に個人的にどうのこうのという雰囲気ではなかった。
 何かの話で夫(後の夫というのが正しいが・・)が関西出身であることがわかり、関西に無縁だった私は唯一知っていることを話した。「千枚潰って、すごくおいしいですよね」前に一度食べたきりで忘れられなかった。「正月帰りますからお土産に買ってきますよ。あれ、冬期限定なんですよ」「冬期限定」その言葉に私はぐらっときたが、別につきあってもいない人にお土産をもらう筋でもないのでやんわりとお断りした。
 年が明け、一月も半ばだった。突然、彼から電話があった。「あの、千枚漬買って来たので、渡したいんですけど。賞味期限、あまりないんで、すぐ会ってもらえませんか」私はびっくりした。賞味期限をこのように使う人に初めて会った。変な人だなと思った。でも心は動いた。「わかりました。すぐ会います」つい、言ってしまった。
 あれから二十年。長いつきあいである。思えば、賞味期限のおかげである。
【出典」こころの花束21(ポプラ社)】

投稿者 on 2007年01月27日 10:53|TOPページへ   ▲画面上へ

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